環境哲学研究室ロゴ画像

◆設立記念講演会◆

テーマ「原発災害と現代の科学技術の倫理問題」
島薗 進 上智大学教授 


2014年10月12日(日)、設立記念講演会を東京農工大学農学部講堂で開催しました。

講師は上智大学の島薗進教授(宗教学)。「原発災害と現代の科学技術の倫理問題」をテーマにお話しいただきました。講演の柱は、以下の通りです。(参加者は33人)

1、野家啓一氏(東北大学・哲学)の論ずる「3.11以後の科学技術と人間」(総合人間学会編『3.11を総合人間学から考える』学文社)。

2、池内了氏(名古屋大学名誉教授)の「現代科学の限界」論(『科学の限界』ちくま新書)

3、シュペーマン(ミュンヘン大学・神学)の原発論と現代科学技術批判(『原子力時代の驕りー「後は野となれ山となれ」でメルトダウン』和泉書館)

4.宗教界からの原発批判

5、原発の非倫理性についてのまとめ

6、提言「科学と社会のよりよい関係に向けて」

島薗先生は提言で、
①科学者集団は、科学の成果についての社会的なコミュニケーションを促進すべきである。科学は社会の中で生きる人間の行為としてあり、社会関係や人間の生き方の総体に大きな影響を及ぼすからである。
②科学者集団が追求している学術的成果が、どのような政治的経済的利害関係に関わっているのかについて、つねに反省的に振り返るべきである。そのためにも、他の分野や異なる立場の科学者や市民からの批判的検討を歓迎し、開かれた討議の場を積極的に設けるべきである―
といった提起をされました。

最後には参加者との質疑応答が交わされ、盛会のうちに終了しました。